大学入学共通テスト（2021年1月実施分）平均点と概要～塾の先生が分析

2021年度大学入学共通テスト　全体分析

2021年1月16日・17日に、初年度となる大学入学共通テストが行われました。共通テストを実施するにあたり、事前に公表された試行問題では、英語のリーディングで文法や発音文問題が消え、各科目でも思考力や処理能力、対話形式の出題など新傾向の問題が数多く組み込まれ、文章量も増えていたため、受験生にとって非常に厳しい入試になることが予想されました。ところが入試が終わってみれば、センター試験最終回である前年と比較した平均点では、難化すると思われていた共通テストの平均点の方がわずかにセンター最終回を上回る結果となりました。

では、実際に来年度以降も行われる共通テストは、このままの難易度で実施されていくのでしょうか？

答えはNOでしょう。なぜなら、もともと共通テストは、従来のセンター試験よりも試行問題のような出題形式により、平均点が1割ほど下がるようにと作成されることが決まっていました。ところが、新型コロナウイルスの影響で、今年の受験生の学習状況が一変したことにより、予定通りの実施は困難ということで修正（易化）されたと推察されます（実際に今年の共通テストでは非常に多くの問題訂正が出ています。問題のチェックが間に合わなかったのでしょう）。では、来年以降はどのようになるのでしょうか? 今年はコロナの影響で、本試験が第1日程と第2日程に分かれて実施されましたが、その第2日程に手がかりがありそうです。

第2日程の数学の問題は、第1日程に比べて試行問題に非常によく似た問題が出題され、難易度が極端に上がりました（数学ⅠAの平均点は第1日程57.68点、第2日程39.62点。数学Ⅱ・Bの平均点は第1日程59.93点、第2日程37.40点）。このことにより、数学において、来年度以降は難易度調整のため、第2日程レベルの問題が出題されることが予想されます。また、理科においてもすべての科目で、第2日程の平均点が大きく下がっています。理系科目だけでなく、国語においても試行問題で出題されていた、実用的な課題について問われる問題や対話形式の問題も、今年は出題されていません。

以上のことを踏まえて、本年度以降の受験生は、共通テスト初年度は様子見の年であり、来年度こそが本当の共通テスト初年度と思い、気持ちを引き締めて臨む必要がありそうです。